MAHO KUBOTA GALLERYでの個展「Beautiful Dream」について

展覧会タイトルの「ビューティフルドリーム」は映画「うる星やつら ビューティフルドリーマー」から取った名称だ。

アニメ映画の名作として広く知られる本作を昨年末から再び、繰り返し観るようになった。

劇中、ある強烈な"夢"の中に迷い込み、登場人物達がなんとかそこから抜け出そうと足掻くと同時に、"夢"が持つ恍惚に魅入られていく様が、今回の展示プランに合うと思い引用した。

また、その様子を幼少期からビデオゲームをはじめとした創作物の中にのめり込む自分と、そこから現実へ引き戻そうとする、人生の中で起こった様々な人や出来事との闘いに重ね合わせている。

"存ることと無いことのせめぎ合い"は自分の創作の重要なテーマだ。

存在し、存在するはずもないこと。その両方への理解と葛藤が作品という形となって現れている。

質量のないイメージとものの間をどっちつかずに漂う絵画というメディアはこのテーマにうってつけの表現方法だと思う。

今回展示するtrace / dimension という作品は、床と壁、つまり水平と垂直をモチーフにしている。それらが一つの画面の中で共存し、展示されることで、重力やテクスチャがバグったイメージを作りだし、空間そのものを変容させたいという思いから、壁一面を覆い尽くす、大きな作品を制作した。

また新たに制作したHeven's doorという作品は、絵の具で門扉を制作し、それを斧で攻撃していくと、リアルな表層が砕かれ、内部の色が露出していく。"あちら側"へ行きたいという欲望と暴力が、表層を歪め抽象化していく様を作品化した。

 

多田圭佑 2020/10/30